地震に強い家とは? 一戸建て3つの構造のメリット・デメリットについて
★今、注目のコンテンツ
阪神・淡路大震災、新潟中越地震、東日本大震災、熊本地震……近年だけ見ても、数年おきに日本の各地で大きな震災が発生しています。加えて、今後は南海トラフ地震の懸念なども指摘されており、地震への備えは急務といえます。
これから一戸建てを建てようと考えている方も、「地震に強い家」を建てなければと思っている方も少なくないでしょう。一戸建て住宅の代表的な3つの構造を比較しながら、地震に対する強さを備えるには具体的にどのような家にすればいいか考えてみましょう。
地震大国日本。耐震基準の歴史について
昔から地震が頻発していた“地震大国”日本では、大地震が発生するたびに街や住宅が大きな被害を受けてきました。そして、その被害状況をふまえ、国は耐震基準や関連する法律などを改定してその被害に備えてきたのです。
例えば、木造住宅における耐震基準の変遷をみてみると、それまでは建物自体や荷物などの重さに対する安定性のみが設計上求められる基準とされてきましたが、1923年に関東大震災が発生すると、建築基準法として必要な耐震性能が定められるようになりました(旧々耐震基準)。
その後も、壁量規定で基準となる壁量が増加されるなど求められる耐震性は着々と強化され、1968年の十勝沖地震が発生すると、その被害をふまえて基礎の規定が強化されるに至りました。これが1971年の「旧耐震基準」です。
そして、1978年の宮城県沖地震発生を経て1981年に改正されたのが「新耐震基準」です。阪神・淡路大震災発生後にも2000年に法改正があり、さまざまな構造計算や地盤調査が義務化されています。
一戸建て構造3つについて紹介
一戸建て住宅の代表的な構造としては、「木構造(木造、W造)」「鉄筋コンクリート構造(鉄筋コンクリート造、RC造)」「鉄骨構造(鉄骨造、S造)」の3つがあります。
木造は、主な構造材が木材で、軽量で組み立てやすく、加工も容易です。工法としては「木造軸組工法(在来工法)」「2×4(ツーバイフォー)工法」などがあり、この2つで新築住宅の8割程度を占めるポピュラーな構造です。
鉄筋コンクリート構造は、圧縮や火事に強いコンクリートと、引っ張る力に強い鉄筋を組み合わせた構造です。建物の強度と耐久性を高くできるため、丈夫で長持ちしますが、その分建物の重量や建築費用がかさみます。
鉄鋼材を主な部材とする構造であるS造は、用いる鋼材の厚みによって「軽量鉄骨」と「重量鉄骨」に分けられます。軽量鉄骨は木造のように柱や梁、筋交いで構成することが多く、重量鉄骨は筋交いや耐力壁などを必要としないラーメン構造が多くなっています。
構造別のメリット・デメリットについて
木造軸組工法(在来工法)は日本の風土に合った工法で実績も多く、将来的にリフォームもしやすい構造ですが、質の高い住宅を建てるには一定の技術が必要です。対災害の観点では、火災に弱いという性質はデメリットになるでしょう。
2×4工法はシステム化されているため誰でも組み上げやすく、気密性・断熱性が高いのが利点です。他方、壁で支える構造であることから窓や出入り口の大幅な変更は難しく、リフォームの自由度も下がります。結露が起こりやすいというのも難点です。
RC造は前述のとおり、建物の強度と耐久性の高さが最も大きなメリットです。耐火性にもすぐれていますから、火災にも強いといえます。しかし、RC造の重い建物を支える地盤が必要であり、場合によっては地盤改良などが必要になるケースもあります。
ハウスメーカーも多数採用している軽量鉄骨は、工場で作られる鋼材を使うことで施工が安定しやすく、建築費用もおさえやすいですが、熱や錆びに弱いという性質があるほか、地震の揺れを感じやすいというのもデメリットです。
重量鉄骨は頑丈で耐久性を備えやすいですが、これもまた建物の重量がかさむため建築費用は高額になりがちです。構造上レイアウトの自由度を高くできますが、長時間の火災が起こると柱の倒壊の危険性が高まります。
おわりに
一戸建てを建てる際、どの構造にするかというのは、建てる土地の状態や建てる階数、予算などによって自然と絞られるようになります。どの構造でも最新の耐震基準や法律を遵守して施工すれば、問題のない耐震性を備えることができるでしょう。
近年は、さまざまなハウスメーカーなどが「地震に強い家」を実現するための技術革新や新製品の開発を重ねています。そうした点を理解しながら、丈夫で暮らしやすい家を考えていきましょう。