斜線制限とは?北側・道路・隣地それぞれの詳細について解説
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住宅を建てることになったら、理想の家に向けてどんどん夢が膨らみますね。間取りはもちろんですが、外観もとても重要です。
しかし、外観においては建築基準法においてさまざまな決まりが定められています。狭い土地だからと5階建てや6階建ての家を建ててしまうと、近隣の住宅の日当たりが悪くなってしまいますし、圧迫感が出て住民の迷惑になってしまうことも。
こちらでは、こうした住宅建築において定められている決まりのひとつである、「斜線制限」について解説しています。
斜線制限とは?
「斜線制限」とは、道路の境界線や隣の土地の境界線に応じて、建築する建物の高さを制限することです。高さを制限することで、隣の建物や道路上空の空間を確保するために行われます。
斜線制限は、地域の用途や建築物の種類によって計算方法が変わるため、複雑な計算が必要な場合もあります。
斜線制限は、主に「北側斜線制限」と「道路斜線制限」、「隣地斜線制限」の3つです。住宅用地域の場合は、いろいろな条件によって適用されない斜線制限もあるほか、斜線制限だけでなく「高さ制限」も関係してきます。
3つの斜線制限
1.北側斜線制限とは?
「北側斜線制限」は、建築物の高さや勾配を制限することで、隣の土地の日当たりが悪くなってしまうのを防ぐことを目的とした斜線制限のひとつです。
例えば、第一種低層住居専用地域の場合、北側の隣地や道路の境界線から、垂直に5メートルの高さをとって、その地点から1.25/1勾配の中に建物を収めるように設計する必要があります。「1.25/1勾配」とは、1を水平に、1.25を高さとして考え、その端と端をつないだときにできる傾斜のことです。
北側にある隣の土地が、建築を計画している土地よりも1メートル以上高い場合は、その高さを考慮して北側斜線を計算します。ほかにも、空の広がりや高度地区が定められているか否かなどによっても、北側斜線制限の計算方法が変わってくるので、専門家に相談しましょう。
「天空率との関係」では、道路を挟んだ隣地から空を見上げたときに、該当建築物から空の広がりがどの程度確保できているかを確認します。ただし、天空率は斜線制限の緩和条件となるため、制限が適用されない場合もあります。
2.道路斜線制限とは?
道路斜線制限も、道路自体やその周辺の建物に対する最高や風通しを確保することを目的とした斜線制限のひとつです。建物を建てる際には、前にある道路に対する一定の斜線勾配の中で建築計画を行わなければなりません。
道路斜線制限の範囲は、第一種低層住居専用地域などの用途や地域別、容積率などに応じて定められているので、その規定に則った建築計画を行います。
第一種低層住居専用地域や第二種低層住居専用地域など、住宅系地域の場合は、全面の道路から1.25の角度で計算しますが、緩和処置や敷地の条件などによって、計算がかなり複雑になる場合もあるようです。
3.隣地斜線制限とは?
隣地斜線制限も、隣地の風通しや最高を確保するために定められており、隣地との境界線を起点として計算します。
高さと勾配によって規制されるのですが、第二種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域に一般的な住宅を建築する場合は、隣地斜線制限の制限はありません。これは低層住居専用地域では「絶対高さ制限」によって建築物の高さが制限されているためです。
「絶対高さ制限」とは、一定の住環境を確保するために定められている決まりで、建築物の高さを10m以下もしくは12m以下のうち、都市計画で定められた方に制限されます。
絶対高さ制限により隣地斜線制限の適用はありませんが、一般住宅では北側斜線制限が適用されます。
おわりに
建築の知識がない人には、斜線制限の計算方法は難しく感じてしまいますが、設計を依頼する建築士の人がちゃんと理解してくれているので心配ありません。
ただし、斜線制限の影響で希望の位置から住宅を建てることができなかったり、屋根や建物の勾配を考えなければならないこともあるので、住宅を建てる予定のある方は、覚えておくとよいと思います。